“17.817”
この数字は、フレット間隔を計算するのに大事な定数です。
なぜ定数が、17.817なの?。という話は、説明すると長くなるので割愛します。
ただ、この定数と計算方法を覚えれば、どんなスケールのギター、ベースも作れます。
[フレッティングの計算]
まず、ギターのフレッティングについて説明します。
ギターやベースのフレットは、1フレットごとに半音づつ高くなるように配置(フレッティング)されています。また、0フレット(ナット)の位置からサドル(弦長または、スケール)の丁度半分の位置に12フレットが置かれ、そこで開放弦の1オクターブ高い音が出るようになっています。
逆に言えば、音が1オクターブ高くなるまでに、半音づつ12の音で区切っていったわけです。
これは、12平均率によるもので、ほとんどの弦楽器にこの平均率が用いられています。
次に、フレッティング方法を説明します。
定数17.817を用いる方法です。
私は、1フレットづつ計算し、指板に罫書き、フレット溝を切っていく方法が一番良い結果が出ると思っています。
面倒臭く、かなりアナログな方法ですが、好きな作業の1つです。
では、説明します。
弦長(スケール)をℓとすると、0フレットから1フレットまでの距離は、ℓを17.817で割ることにより求められます。
ℓ÷17.817
したがって、弦長ℓの音より半音高い音が出る弦の長さℓ1は、
ℓ1=ℓ−(ℓ÷17.817)
となります。
第1フレット、第2フレット…の距離をF1、F2…とすると、残りのフレットについても同様にして求めていくことができます。
F1=ℓ÷17.817
F2=(ℓ−F1)÷17.817
F3={ℓ−(F1+F2)}÷17.817
また、一応ですが、幾何学的な方法も説明します。
しかし、やってみるとわかりますが、どんなに正確に描いたつもりでも必ずズレます(あくまでも私の経験上ですが…)。
それだけ、直線の線を書く、正確な垂直の線を書く、正確な弧を描くと言うことは難しいのですね(出来る人もいると思いますが…)。
写真を説明すると、
①スケールを決定する。
②1フレットまでの距離を計算する。
スケール÷17.817
③コンパスを1フレットまでの距離に合わせて、基線から垂線に向けて弧を描く。
④接線を引く。
⑤1フレットの位置で垂線を立てる。
⑥1フレットからの接線と立てた垂線の交点までの長さにコンパスを合わせ、弧を描く。
⑦各フレットの位置で垂線を立て、弧を書いて、次のフレットの位置を決める。この作業を繰り返す。
⑧12フレットはきっかり、スケールの中点になるべき。
幾何学的方法が楽で、治具を作るにも良いと言う人がいます。理屈的には納得いくのですが、私は1フレットづつ定数17.817で計算した方が良い結果が出ると思います。